平成の終わりに「この国」を考える   

         2019/04/15         サイトトップへもどる

      ----コンテンツ----  

*はじめに

*平成の時代とは

*日本人の精神構造の問題

*近代~の世界をGDPを尺度で振り返る

「なぜGDP」

「傾向だけでこんなことが読める」

*経済以前の問題としての環境の課題

*平成とグローバリズム

「花見酒の経済」

「覇権主義」が「国家主義」と・・・

*テクノロジーが国家主義の武器

*官も民もテクノロジー戦略は不在?

*令和から日本の歩く道

*日本の戦略を考える

*つぶやき

「社会人になって半世紀以上が過ぎた」

「長生きも芸の内」

 

はじめに

 日常を切れ目なくダラダラやらないで、なんとか句点を付けようと

思っていたら、平成が終わりを告げる刻(とき)になってしまった。


 
 昭和・平成・令和と、

  3つの年号の時代を生きることになる。


     花ふぶき 昭和は遠く なりにけり

      2019/04/06  皇居のお堀にて 

平成の時代とは

  昭和の「軍国主義→敗戦→右肩上がりの経済社会→バブル崩壊」という

ワンサイクルが終わって始まった時代が「平成」である。

昭和はやはり「激動の時代」だったことをしみじみ思う。

 

 平成最後の今年2月になくなった堺屋太一さんは遺言的な文書で

「戦後」を次のように語っている。

 

 続いた平成は、情報通信などのインフラが大躍進したことを考えれば、

30年間という期間では、かなりの「変革」が成し遂げられたはずだが、

終わらんとする今振り返れば、まさに「平成」に終わってしまった。

 

時代のリーダたる官僚も、国民も、「平坦な持続」を選択したからだ。

堺屋さんは次のようにも言っている。 まさに至言!である。

 

官僚というのは、消去法で可能性のある道だけを探る。

 

黒船が来るまでの江戸末期は、「太平の眠り」と表現された時代だったが、

「平成」も同じ形容詞が似合い、天災や異常気象だけが多くなった時代だ。

官だけではない、大手企業が大切な品質などの不祥事はなくならない。

民に至っては、いじめや、パワハラ、親子の傷害など、道義は地に堕ちた。

 

日本人の精神構造の問題

 

 平成をまとめれば、「衣食は足りても、礼節忘る」の時代であった。

要は「もっと欲しくなる」のが日本人の性行である。

これは「個」の成長が少ない、農耕民の「隣百姓」の遺伝子なのであろう。

好意的に言えば「備蓄がないと安心が形成されず」、「どこまで」がない。

だから平安時代の終わりの頃から「足るを知る」が「教義」になった。

 

 この状況を解消するには、この国の歴史上のな立ち位置を確認し、

どうしたら、持続的な「安心」を担保出来るのか、

科学的で客観的な方法論で、「安心に至る道」を示すことが大切だ。


「自立心」こそ「衣食住や移動の自由」を持続的に確保する道として示す

 

近代~の世界をGDPを尺度で振り返る

 

なぜGDP

 国家の盛衰とはGDP(国民総生産)で測ることが出来る。

GDPが大きければそれだけ多くの人口を国土に収容する事が出来る。

 脱線するが、昭和初期の人口を養うためには国土が必要であると

満州に進出することを正当化してしまう、その結果は言うまでもない。

「遅れてきた帝国主義国家」のサンプルのようなものであった。

 

 統計データを探してみるとかなり信頼の出来そうなものがみつかる。

一八世紀の後半に欧州で始まった産業革命の頃からが、下記である

 

このグラフは19世紀前半から20世紀末までの地域別データである

横軸は中国~その他の10地域に分けている。

縦には1820年から1998年の間の5つの暦年で、その1年の各地域の

GDPの世界シェア(全体=100)数値を、下から順に積み上げてみた

数値はシェアであり金額ではないが、購買力平価換算なので目安で比較は可

参照資料 2016/3/6  歴史を科学する.netから

 

 

定性的でもこんなことが読める

産業革命の頃までは中国や印度人口が、欧州よりは大きかった

欧州のシェアが増えるのは産業革命の成果がでたころで、中印は植民地に

第一次世界大戦から欧州の存在は下がり、アメリカ(石油)のそれが増える


まとめると

「エネルギーを多く使う国(地域)がGDPの大きい国」といえる

化石燃料を使うまでは、日照面積の広さ≒食糧≒GDPに等しい時代だった

 

次のチャートは21世紀初頭からGDPを金額ベースでみたものである

 

  読み取れること

 「規格大量生産の日本」が、ドルベースでは国別で第2位に首を出す

 バブル崩壊をなんとか乗り切った日本だが、海外市場依存が高まる

 世界は2008年のリーマンショック以降で日・欧は明らかに停滞

 市場開放を進めた中国が、日・欧に代わって、伸び、2位の座に

 「情報・通信革命」で産業構造を変えたアメリカは2010年以降伸びる

 

 経済以前の問題としての環境の課題

 

産業革命がもたらした経済的効果として、指標のGDPが増えた。

GDPが増えると、より多くの人口を養うことが出来る

これはやっぱり歴史の鉄則である。「宇宙船地球号」参照

 

 

19世紀終わり頃からの産業革命効果により人口が増えたことが判る。

 

 しかしどこまで宇宙船地球号は乗員の数を増やせるのか?

エネルギーや食糧とは逆に、妨げる要因が温暖化ガスである

エネルギー増産で併発するCO2は増やさないどころか減らすべきだ

 

次の図は低炭素社会戦略(LCS)センター長の小宮山先生の資料である。

 

 見て解ること

 CO2を削減するためには、まず化石燃料をやめる!

「非化石燃料を技術開発すること」が喫緊の課題と理解されよう。

 

 平成とグローバリズム 

 

 「昭和」は花見酒の経済に喩えられたが「平成は」・・・




 その後を繋いだ時代は

ポリシーや戦略も希薄で、グローバリズムは受け入れた」それが平成。

グローバルでも日本は「建前の自由経済と国策の曖昧さ」で版図を広げた。

 

 覇権主義と国家主義がまかり通る時代へ

 しかし世界は「覇権主義」が「国家主義」と不可分で、烈しく競う時代だ。


新興国へのインフラ援助が「借金のワナ」(マハティール)の面もある


先進国の日本が、海外資本の導入を、資金の節約のように考えるが??だ。

世界は露骨とも見える中国の伸長に、米国が制止をかける両国の争いである。

戦後の米ソの冷戦とはまた違い、貿易と経済を舞台に、世界を巻き込む。

 争いの内容の違いは

*米ソの時は(石油)エネルギーと軍拡がからんだ覇権争い

*今回の米中は、広義エネルギーと人工知能~情報通信の覇権争い!

 

 テクノロジーが国家主義の武器 

 

ここで気がつくのは、「テクノロジーが国家主義の武器」になることである。

・もとより情報通信革命はAIまで含むテクノロジーの結実である

・化石でない(非化石・低炭素)エネルギーで、安全が担保され(≒非核)、

 地上に遍在し、持続性のある・・と並べるとこれはエネルギー革命である

 

車の両輪となる2つの革命を支えるのは科学技術(テクノロジー)である。

このテクノロジーに関して、平成の日本国はうまくやってきたのか???

ふり返ればもちろん「NO!」なのだ。

得意の「建前の自由経済と国策の曖昧さ」で過ごしてきただけだ。

誰がリーダか判らない、公論も、政治で監視すべき反対政党の提言もない。

このツケは、遠からず、致命的な構造欠陥として認識して欲しい。

 

官も民もテクノロジー戦略の不在?

 

 開発段階では強かった日本の技術は、鉄も半導体も液晶も太陽光発電パネルや

新幹線・・がコモディティ(汎用品)に成長したときには、思うようには作れない。

トップランナーへの「中間材料の供給」だけが、かろうじて残るだけである。

 

 長い間続く政権や内閣があっても、どんな技術政策が打ち出されたのか??

行政としても、経産省なのか、文科省なのか、運輸省なのかよくわからない。

ごく最近の進行中の出来事はこんな具合だ

 

*4/13の日経のトップは「経産省、最後は丸投げ JDI台中傘下に」と報道

  JDPは「日の丸液晶」の最後の砦だった。

*5年かけてNEDOさんが真剣に「次世代石炭火力」を開発しても

 エネルギー先進国からは「日本は環境よりも輸出」と総スカンなのだ

 (邦銀大手行のプロジェクト融資も×)

*それどころか4/12の日経には、真逆の記事が大きく載っている

 「東南ア企業、再エネに熱」 地熱や太陽光、地の利も生かす と報道

 

日本国民が育てたも同然の企業が、海外絡みで苦境を迎えている。

*表示器のS社さんは、どこの国に売られたのか、苦戦が続いている。

*N自動車は、不調の時に出資を受け入れ回復した今、欧州の国有企業から

 統合という証文をだされている。何となく植民地時代を思い出す。

 

 こんなハナシはうんざりするが、いつか整理してみたいがヒマがない。

やはり給料をもらっている議員サンがまずやるべきだろう。

(もちろん不見識な閣僚の失言を探すのも良いが、本職は違うだろう)

しかしまともな企業人で米中の争いを「高みの見物」という人はまずいない。

それが日本人の均質な良さである。

 

 自国民の半分以上が不具合を感じる、あのトランプさん

(このごろ私は彼を「さん」付けでよびます)はスゴイですね。

不当に某国にとられた技術を、ビックリする強権で、取り戻そうとする。

日本の総理が、これからはこんなやり方ができるとは想像もつかない。

----閑話休題---- 

 

令和から日本の歩く道

さて、まもなく新しい年号が始まる。

対米追従ではなく、そろそろ、日本らしい歩き方を始めたいものだ。

年号の言う「美しく、安らかに暮らす国」、それは「自立」がキーだ。

 

 日本のドクトリン(国是)を考える

目をつむってこの国を思うとき、一番気に入るのは

(人為的な政治・軍事・経済のイメージが強い)地政学的な計算でなく、

ジオ・グラフィックで美しく、自然に恵まれたこの国が祖国であることだ。

 

 4つのプレートのせめぎ合った結果で、大陸とくっついたり、離れたり

何十億年もかけて、神の手が作ったプレゼントかも知れない。

農耕民がオーバープレゼンスして狩猟民になる必要はないのだから・・・

私たちの祖国は暖かい潮の流れが岸を洗う「奇跡の島国」なのだ。

 

 

「東は東、西は西」で知られるキップリングの詩は高校?で教わったが

これも哲学なのかも知れない  ここで全文を紹介したい

「東と西のバラード」

おお、東は東、西は西、そして両者は決して会うことがないだろう、

大地と空がやがて神の偉大な審判の座に立つまでも。

しかし東もなければ西もない、国境も、種族も、素性もない、

二人の強い男が面と向かって立つときは、

両者が地球の両端から来たとしても。


これも哲学であろう

日本の戦略を考える

   自立国家の拠り所は:育んだテクノロジー 両輪は:エネルギー革命と情報・通信革命 

  

・情報・通信革命

 情報・通信の世界でAIまで含んだ、人間の創造性を活かす革命

・エネルギー革命

 化石でない(非化石・低炭素)エネルギー、安全が担保され(≒非核)、

 地上に遍在し、持続性のある、・・・世界に奨めても良い革命

  

つぶやき

社会人になって半世紀以上が過ぎた。

育ててもらった社会や、この国の将来に、何が恩返し出来るか・・

 

・最初のテーマは、まずはこの国の「エネルギーの自立化」だ。

 本格的には2年前から「自然エネルギーの社会実装」に参画している。

 個人のかなりの時間と、体力も使っている。

 

・二番目は広範囲なテクノロジーのメキキできる能力の維持・向上だ。

 対象は「情報・通信によるソリューション」分野を続けたい。

 複数の確立した技術を意図的に組み合わせ、新たな効用を空想するのも

 自分自身で目からウロコの時があり、楽しい。

 

・最後の三つめは文化のジャンルで、「知恵」とか「感動」を持ち続けたい。

 歴史考察は、ネットで見つけた映像記録をかなりため込んだ。

 モノづくりの仕事をしながら、つづけた「産業文化人類学」も磨きたい

 

 とまあ、やりたいことばかりで、興味は尽きないと思っている。

とりあえずは10年計画でやる。

  どこかで、誰かが、「閻魔さんがクシャミをした」と言っている(^_^)

しかし最近やっと判ったのだが、「人間が死ぬと言うこと」は

重大な病気や、事故を除けば、大抵は

 本人が「もうやることがない」と思ったとき

「長生きはもっとも高度な芸の内」ではないか!!

      
      

     
 
-----太陽と大地の恵みで 自立する国、日本を創ろう----- 前嶋 規雄

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