海外依存である化石燃料の脱却から、原子力が国策として推進されたことは言うまでもない。しかし内在していた巨大なリスクに、さまざまな「企業の論理」が重なり、今回の挫折を見た。その存続はしばし議論を要するが、技術の選択肢を減らさない程度が大方の支持となっている
 間違いなく表出された事実は、
「大型サイトを系統につなげた電力システムの効率一辺倒が、一旦ことあれば、連鎖的な大停電に陥る脆弱さを内蔵していた」ことである。
欠点はさまざま指摘されているが、大きく分ければ2つの「異常さ」につきる。
 @本質的に非常時にも有効な「分散電源がなかった」ことである。「卵をひとつの籠に入れる」
 A系統であれ分散であれ、ピークシフト=「蓄電機能」がないに等しい事実である。
電力
全電力の中で系統(官製)電力でない、分散(ローカル)電力が必要である。その比率については先頭でご活躍の東工大の柏木先生によれば30%であり、感覚的には同感する。
蓄電については大容量で期待されたNAS電池の頓挫があり、何としても日本の技術で開発したい。家庭用を含めた分散用ではリチウムイオンを本命としても、ヒトケタのコストダウンが必要になる。
分散電力の主力となる再生可能エネルギーについては、電力会社そのものが反対勢力だったと言えなくはない。
排熱の活エネや、太陽光は量産によるコストダウンと施策である。風力、地熱は系統向きで買取り体制が決め手である
系統電力も多様性が肝心であり、「電気予報」を見ても稼動率の低さに驚く。ピーク集中時間(ショート)は年間でも数十時間といわれており、発電能力の総計が絶対不足でもない
天然ガスのガスタービンコンパウンドなどの
暫定バックアップが現実的である。
三菱総研の小宮山先生には啓発される点が多い。太陽光発電の導入に対する「自立国債」の提言、最近では「最良の発電は節電」とも喝破された。
以上の諸点から10年先の電力量の分担を可視化すると左図のようになる。
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