No.41 2012/1/4 更新
「塔頭・知足院」に入り込む
都の紅葉も終わり、寒さに青空が透きとおるようになると、何となく奈良の街を歩きたくなる。別に決めないで歩く。鹿は角をなくして、何となく穏やかに憩う。
また東大寺で会津八一さんの歌碑を見つける。
おほらかに もろてのゆびを ひらかせて おおきほとけは あまてらしたり
先生のひらがなだけのよみやすい独特の歌だ。 二月堂を経て北に歩く。
ひょっと前を見ると、一人の僧が自分のお寺に帰るのか、階段を上がって行かれるのに気づく。思わず少し離れてついていくと、小さな山門をくぐる。
入り口には「知足院」と表札がある。何かこの頃気にしていた言葉に、不意に背中をどやされたような気がした。失礼ながら中を覗けば、塀は朽ちている。 足袋も履かれていない。
「足を知ると言うことは心の状態か」・・・と勝手に合点する。唯物的に言えばこれが旅の収穫と言うものだ。
ならやま(平城山)と そのな(名)はよべど まろやかに
はる(春)さむきの(野)に ひ(陽)はかたむきて